1：歯周ポケットを引き起こす原因と解決法とは

1-1：歯垢と歯石

歯磨き不足などで、お口の中にばい菌がとどまっている時間が長いと「歯垢（しこう、プラークとも）」となります。これはばい菌のかたまりで、ねばねばとし、歯と似たような白っぽい色をしていています。さらに歯垢は48時間で歯石に変化します。歯石は、だ液の中のカルシウムなどと歯垢がくっついて石のように固くなったもので、歯ブラシでは落とせません。しかもばい菌は酸素を嫌うので、歯と歯ぐきの境目の奥へ奥へとどんどん潜り込んでいき、こびりついてしまいます。こうして歯周ポケットができてしまうのです。

歯垢は歯医者さんで歯石を取り除くことで改善できます。

 

 

1-2：タバコ

タバコは、歯ぐきに大きなダメージを与えてしまいます。タバコには血管を細くする効果があるためです。歯ぐきに流れる血の量が減り、歯ぐきが栄養不足になってしまうと、ばい菌が出す毒素に抵抗する力が低くなるのです。タバコをやめると、これらは改善されます。

 

 

1-3：親知らず

親知らずが斜めや真横に倒れて生えていると、親知らずの手前の歯との間に深い歯周ポケットができることがあります。20代前後のうちに抜歯をすれば、その後にも骨ができて、健康な歯ぐきに回復していきます。しかし、20代後半以降になると抜歯後に骨が作られず、歯周ポケットだけが残ることになってしまいます！

親知らずはできるだけ若いうちに抜くのが効果的です。

 

 

1-4：免疫力の低下

疲労や睡眠不足、ストレスなどで体の免疫力が低くなると、ばい菌に抵抗できず、病気が進みやすくなります。適度に休息を取りましょう。

もう一つ、忘れてはならないのが糖尿病です。糖尿病にかかると全身の免疫力が下がるので、歯周病が悪化しやすくなることが分かっています。また、歯周病が進んでいるほど血糖コントロールが悪化しやすいという報告もあります。生活習慣病として知られる糖尿病と歯周病の両者には、深い相関関係があるんですよ！

 

 

2：歯周病とは

日本人の成人のうち、8割もの人がかかっている病気が歯周病です。

歯垢が出す毒素によって歯ぐきが腫れる、血が出るという症状だけではありません。歯を支える顎の骨が溶け、歯がぐらぐらしたり、最終的には歯が抜け落ちてしまいます！歯を失う原因では第1位です！

歯周ポケットが深いほど、歯医者さんでの治療の時に体にかかる負担も大きくなるので、早期発見早期治療をしたいところ。しかし、歯周病は「サイレントキラー（静かな殺し屋）」とも言われるように「自覚症状なく病気が進む」ので、気が付いた時には悪化していることもしばしば。歯周ポケットができている時点で、すでに中期まで進んでいる状態なことが多いです。

3：歯周ポケットの深さの目安

歯医者さんでは歯周ポケットの中に、針のような形をしたメジャーを差し込んで深さを測ります。

　軽度：3～4ｍｍ

　中度：5～7ｍｍ

　重度：7ｍｍ以上

　重度（末期）ともなると、ポケットが歯の根っこの先端まで届いてしまった状態で、歯を支える顎の骨は無くなっています。他の歯に悪い影響を与えないために、治療として抜歯を選ぶこともあるほどなんですよ！

4：まとめ

歯周ポケットは、ばい菌のすみかとなりやすく、きれいにするのが難しい場所なんです。歯医者さんでの治療はもちろん有効です。しかし、同じくらい大切なのは、歯磨きを始めとする毎日のセルフケアです！なぜならばい菌はお口の中で毎日増え続けるからです。

今回の記事でご紹介した歯磨き法や、生活習慣を見直すことで、上手にケアし、お口の健康を守るお役に立てれば幸いです！

毎日の歯磨きでばい菌を減らすことが、歯周ポケット改善の第一歩です。5つあるポイントのうち、できることからぜひ取り入れていってくださいね！

 

歯周ポケットが気になる方は、お近くの「歯周病に注力」されている歯科医院さんで検査を受けて見るのがよろしいと思います。歯周ポケットが深い方は、「歯周病」が進行しているかもしれません。早めの発見・治療で将来残せる歯の本数に違いを生みます。

 

予防の為には、歯医者さんを受診して歯石を取り除いてもらいましょう。ついたばかりの歯石なら柔らかく、治療時の体の負担も少なくてすむので定期的な除去がおすすめです。