埼玉県上尾市にある歯科医院　上尾カナデ歯科・マウス&ピース矯正歯科 院長 高井です。

歯ぐきがやせてしまう原因は5つもあり、原因を取り除くことが必要だと前編でご紹介しました。

では、実際にやせてしまった歯ぐきは、どうしたらいいのでしょうか？そのまま放置するしかないのでしょうか？もう元には戻せないのでしょうか？

今回は、歯ぐきがやせたことで生まれるリスクと対処法、そして歯ぐきを回復させる方法をまとめています！

　歯ぐきがやせて、歯が伸びたように見える…。見た目外にはどんな問題があるのでしょうか。

　それは、露出した歯の根っこは「無防備」だということです。

　歯の普段見えている部分は、表面が硬くつややかな層「エナメル質」でおおわれています。温度（熱い・冷たい）、虫歯菌、酸、硬い物の圧力など、さまざまな刺激から歯を守っています。しかし、もともと歯ぐきに埋まっていた部分にはエナメル質の層は無く、やわらかい「象牙質」という層でできています。そのため、歯が様々なダメージを受けやすくなっているのです！

2-1：知覚過敏

　熱さ、冷たさを普通よりも敏感に感じてしまい、生活に支障が出てしまうのが知覚過敏です。夏なら冷たい飲み物・食べ物をとる、冬なら冷たい水でお口をゆすぐことなどで症状を訴える方が増えています。

　象牙質には象牙細管という細い管が歯の中心に向かって無数に通っていて、歯の中心にある神経に温度を伝えています。しかし歯ぐきがやせると、温度の刺激が神経にダイレクトに伝わるようになってしまうのです。

　歯医者さんでは、露出した歯の根っこにしみどめの薬を塗る、プラスチックをつめることで物理的に刺激を遮断するなどの方法があります。知覚過敏用の歯磨き粉もおすすめです。それでも生活する上であまりにつらい場合、神経を抜く処置が選択肢に上がることもありますが、それ自体が歯の健康を損なうので最終手段です。

2-2：歯の根っこが削れる

　象牙質はやわらかく、意外なほど削り取れやすい組織です。強い力でゴシゴシ歯磨きをしていると、露出した歯の根っこが削れる事があります。表面が凹むように削れた様子から、くさび状欠損とも言われます。

　歯の強度に問題が出ますし、表面から歯の神経まで近くなるので、知覚過敏の症状も現れます。プラスチックをつめる治療が取られます。

2-3：虫歯

　歯の根っこにはエナメル質が無いので、虫歯になりやすいです（根面カリエス）。

　歯磨きを見直すことで、これらの問題を予防できるんですよ！優しい力で小刻みに磨くようにしましょう。歯磨き粉は、歯の強化と虫歯予防の効果があるフッ素入りのもの、そして研磨剤が入っていない商品を選ぶのがおすすめです。

　歯医者さんで歯磨き指導を受けるのも効果的です！

　歯ぐきの下がり方がひどくて歯の根元まで出てきそうなケースでは、外科的な治療を行う選択肢もあります。

4-1：歯肉歯槽粘膜形成手術

　まず、歯ぐきを切開し、下がってしまった部分に歯ぐきを引き上げてかぶせ、縫い合わせる治療法です。歯ぐきの下がり方が5ｍｍ以内の時に行えます。

4-2：遊離歯肉移植手術

　口の中の別の場所から、歯ぐきを移植する手術です。多くは、上あごの内側にある歯ぐきを一部分切り取ります。見た目を早く回復したい場合に用いることの多い手術です。

　歯ぐきが下がるのは、年のせいの場合もありますが必ずしもそうではありません。原因が、歯を失ってしまう病気にあることも。さらに、歯ぐきが下がったのをそのまま放置すると、知覚過敏などで生活に支障が出る場合もあります。

　気になったら、歯医者さんを受診して、適切な治療やケアをうけましょう。健康で楽しい暮らしを守るお役に立ちますよ！