埼玉県上尾市にある歯科医院　上尾カナデ歯科・マウス&ピース矯正歯科 院長 高井です。

「バイオフィルム」という言葉を聞く事が増えてきました。なんとなく、「ばい菌がつくるかたまり」「歯の汚れ」だと思っていませんでしょうか。

　今回は、バイオフィルムについて取り上げます！この前編では、バイオフィルムが一体何なのかについて、わかりやすくまとめました！

この記事をご覧になられて、少しでも多くの方に歯科予防の大切さをご理解して頂ければ幸いです。

バイオ＝生き物、フィルム＝膜といった意味で、特にお口の中に限らず、ばい菌がたくさん増えているところでならどこにでも作られます。お風呂や排水溝のヌメリも、バイオフィルムなんですよ。自然の中の、池の岩についたヌルヌルしたものもそうです。

　「無数のばい菌によって形作られる構造体」がバイオフィルムという言葉の意味なのです。

単にばい菌がたくさんいるだけではありません。菌と菌の間にはたんぱく質、多糖類などばい菌が生産した物質があります。これらの物質をＥＰＳといい、歯磨き粉やマウスウォッシュなどの説明で見たことがあるかもしれません。ＥＰＳはバイオフィルムの中の菌を守り、水や養分を運びます。バイオフィルムはさながら生き物の町として、さまざまな菌が共存して生活しているんです！

お口の中にできるものを、特に「口腔バイオフィルム」と呼んでいます。口の中は温かく、湿っていて、くっつく場所（歯）があり、定期的に食べ物という養分が入ってくるため、ばい菌にとっては絶好のすみかです！

　虫歯菌は、歯の表面にくっついて、バイオフィルムを作ります。糖を食べて酸を分泌することで歯を溶かしていってしまうのです。

　歯周病菌は歯と歯ぐきのすき間（歯周ポケット）でバイオフィルムを作り、歯を支える顎の骨をじわじわと溶かしてしまいます！

2-1：バイオフィルム

　口腔バイオフィルムは「口の中に住み着いているばい菌のかたまり」「ばい菌本体と、ばい菌が分泌した物質のかたまり」です。

2-2：歯垢（プラーク）

　歯垢というと、「虫歯菌、歯周病菌のかたまり」という意味合いが強くなります。口の中には、他にも常在菌といって健康な人にも住み着いている菌がたくさんいるので、それと区別しているのです。

2-3：歯石

　歯垢がだ液の中のカルシウムなどとくっついて、石のように固くなったものが歯石です。歯石の表面には、目に見えないほど細かい穴がたくさんあいていて、いわばばい菌のマンションとなってしまうんですよ！歯周ポケットの中に歯石が入り込んでしまうと、歯周病の原因になります。しかもただでさえ固い歯石は歯ブラシでは取り除けないのに、歯ぐきの中となっては自分の除去は不可能です！

歯垢1ｍｇの中には、およそ10億個ものばい菌がいると言われています！お口の中に住みかを作り、毒素を出し続けているかと思うとぞっとしますね！

　では、どうやってきれいに取り除けばいいのでしょうか？

　後編では、バイオフィルムを除去する方法をご紹介します。