埼玉県上尾市にある歯科医院　カナデ歯科 院長 高井です。

「歯周病」・「歯槽膿漏」・「歯周ポケット」という言葉を最近よく耳にするようになりました。

当院は、歯周病にもっとも力を注いでいる歯医者さんで、前回の前編では、歯周病と糖尿病の関係性についてお話をさせて頂きました。

前回の記事にもありますが、糖尿病の方は、血糖値が高いことによって歯周病が進みやすくなります。

歯周病の元となるばい菌は、口の中に限らず、血管に入り込んで全身をめぐり悪影響をおよぼします。この後編では「動脈硬化と歯周病の関連」についてまとめてみました！

「歯周病になっても、死ぬわけじゃない」

そう思っていませんか？

実は、歯周病 (歯槽膿漏)は、全身に影響のある病気に関係しています。

中には命にかかわる病気もあるんですよ！

この記事をご覧になられて、少しでも多くの方に歯科予防の大切さをご理解して頂ければ幸いです。

動脈硬化とは病名ではありません。「動脈の壁がやわらかさ・しなやかさを失って、硬く厚くなり、血管本来の働きが失われてしまった状態」のことを言います。

新しい柔らかいホースなら、自在に曲げたり、お水が順調に流れてくれます。しかし古くなったものは硬くなって曲げられなくなり、内側に汚れがたまって詰まったり、ホースが裂けて水が漏れることがあります。これと同じことが体の中で起きてしまうのです。

生活習慣病としての動脈硬化の原因には、栄養バランスの偏った食生活や運動不足、喫煙、ストレスが挙げられてきましたが、その他にも歯周病菌などのばい菌への感染も関係していると分かってきました！    

3-1：血管が詰まってしまう

　歯周病菌は血管に入り込み、血流に乗って全身を巡りますが、血管の内側の壁に刺激を与えて傷つけることがあります。傷口に脂肪などがたまって「プラーク」と呼ばれるものができます。プラークができると、その分だけ血管が狭くなります。さらに、プラークが何かのきっかけで破けると、その傷を治そうと血小板が集まり、かさぶたのようなものを作ることで血管がさらに狭くなります。これが繰り返されると血栓ができ、血管が詰まってしまうことがあるのです。

3-2：脳梗塞、心筋梗塞と狭心症

　「脳梗塞」は、血栓によって脳の血管が詰まることで引き起こされます。詰まった部分から先へは血液が流れなくなり、脳細胞が部分的に死んでしまいます！しかも突然発症し、数分から数時間で急速に症状が進みます！体の麻痺や、言語障害などのダメージが残ることもあり、命を失うことも少なくありません。

　心臓の筋肉に血液を送っている血管を冠動脈といいます。その冠動脈が血栓により狭くなり、心臓の筋肉に酸素が足りなくなって起こるのが「狭心症」、動脈が詰まってしまうのが「心筋梗塞」です。強い胸の痛みなどの激しい発作が起こり、突然死に至ることも！

　糖尿病がある人は、健康な人に比べてこれらの病気に2～3倍もかかりやすいんですよ！

前編でご紹介したように、歯周病と糖尿病はお互いを悪化させあう、悪循環の関係にあります。そこから引き起こされる動脈硬化は、命に関わる病気のリスクが高まります！

それぞれに適切な治療を受けることが大切ですね。

歯周病が、実は全身に悪影響を与えていたことがお分かりいただけたでしょうか？

歯周病は自覚症状の少ない病気です。気になる前に歯医者さんを受診し、定期的に予防処置を受けることが早期発見・早期治療に大切です！歯医者さんに気軽に相談してくださいね。健康で、楽しい暮らしを守りましょう！