1：「噛み合わせが悪い」とは？

　正常な噛み合わせは「上の歯が、下の歯におおいかぶさっている」状態です。そして「歯全体に、噛む力がバランスよくかかる」ことが大切になります。

　噛み合わせが悪いのは、歯並びが悪かったり、歯が抜けている、歯と歯の間にすき間がある、歯がすり減り過ぎているなどです。

　人間が噛む力は、その人の体重と同じくらいと言われています。体重60kgの人なら、それだけの負担が歯にかかっているんですよ！　

 

 

2：噛み合わせが悪いと、起こるトラブル

2-1：虫歯

　噛み合わせが悪いと、きれいに歯磨きをするのが難しいです。歯並びの乱れや、歯のすき間、すり減り過ぎてでこぼこしているなどといった場合、いつも決まった場所に汚れが溜まってしまうようになります。汚れが問題になるのは食べかすだけではありません。白っぽくねちょねちょした歯垢（しこう、プラークとも言います）はばい菌のかたまりなんです！もちろん、虫歯菌もたくさん存在していて、虫歯ができやすくなってしまうんです！

 

 

2-2：歯周病

　歯磨きが上手にできないと、歯周病にかかりやすくなります。歯周病は、歯周病菌が出す毒素が歯ぐきに炎症を起こしたり、歯を支える土台である顎の骨を溶かしていき最終的には歯が抜け落ちてしまう病気です。

　噛み合わせのバランスが悪いと、歯に余分な力がかかります。歯と歯ぐきをくっつけている歯根膜という組織が壊れ、歯と歯ぐきの間にすき間（歯周ポケット）ができてしまうのです。歯周病菌は酸素を嫌うので、歯周ポケットの奥深くへとどんどん潜り込んで毒素を出し続けていきます！

 

 

2-3：噛み合わせによるケガ

　強すぎる噛み合わせが、お口の中にケガをさせてしまうことがあります。フォークを強く噛んで歯がズキズキすることも。歯並びが悪いと、フォークのように特別固いものを噛まなくても痛みを引き起こすケースがあります。

　歯は、上下にかかる力には強いのですが、左右にかかる力には弱い仕組みです。噛み合わせが悪いと、一部の歯に大きな負担が掛かってしまい、痛みを引き起こしやすくなるのです。

　歯ぎしりの癖があると負担はさらに大きくなり、普通の倍以上の力がかかると言われています！

 

 

2-4：顎関節症

　耳と頬骨の境目に指をあてて口を開け閉めしてみると、関節が動くのがわかると思います。頭蓋骨と顎の骨をつなぐ顎関節なんです。

　顎関節症になると、口を開け閉めするときに音が鳴ったり、なめらかに動かない、口を開けるときに違和感がある、痛むなどの症状がでてきます。痛み以外はささいなことですが、毎日、毎瞬のことなので大きなストレスになります。

　噛み合わせが悪いと顎関節に負担がかかり続け、顎関節症を引き起こしてしまいます。

 

 

2-5：口呼吸

　噛み合わせが悪いと口をしっかり閉じることができず、口呼吸が癖になってしまうことがあります。口呼吸をすると、お口の中が乾燥したり、だ液の殺菌効果が低くなります。菌が原因である虫歯や歯周病にかかりやすくなるほか、いやな口臭を引き起こします。

　口呼吸だと、前歯の裏側に舌が当たります。その時にかかる舌の圧力を調べると、鼻呼吸と比べて、座ったときは4倍、あおむけのときは8倍もの力がかかっていると分かったのです！力はほとんどずっとかかっていますから、舌に押されて前歯がどんどんと突き出てしまい、出っ歯になったり歯と歯のすき間が広がったりしてしまいます！

 

 

　噛み合わせが悪いと、見た目・物を噛みにくい以上にさまざまなトラブルが起こるのがわかりますね。

　後編では、代表的な「悪い噛み合わせ5つ」をご紹介します。それぞれ、起こりやすいトラブルが違うんですよ。